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2024.03.26

トラック運送事業者に追い風『千載一隅のチャンス』

国交省が荷主企業と元請け事業者に対し、初となる勧告を実施した。

同省では、昨年11月、12月をトラックGメンによる集中監視月間として、荷主や元請け事業者への監視を強化していた。

トラックGメンは、トラック運送事業者への調査をはじめ、関係省庁との連携で得た情報をもとに、悪質が指摘される荷主や元請け事業者への要請や働きかけ、そして勧告を実施。

今回、王子マテリアとヤマト運輸に対し勧告を行ったが、荷主企業である王子マテリアは、長時間の荷待ちが発生するとして、2022年8月に要請を実施、ヤマト運輸は、過積載運行の指示で同年11月に要請を実施、両社とも改善が見られないとして、今回、社名を公表したとしている。

一昨年の12月には、公取委が下請け企業などとの間で原燃料費や人件費といったコスト上昇分を取引価格に反映する協議をしなかったことが、独占禁止法の「優越的地位の乱用」に該当する恐れがあるとして、13社・団体の名前を公表したことは記憶に新しいが、行政のこうした取り組みに、業界では「国がようやく本腰を上げた」との声も聞かれる。

トラック運送事業者などが業務に関して法律違反をした際、その原因に対して荷主が関与していた場合、国交省が荷主に対して是正措置などの勧告を行える荷主勧告制度自体はもともとあったが、これまでほとんど機能していなかった。2014年に改正され、発動しやすくなったものの発動はされず、有名無実化し形骸化していた。

それだけに、ここへきての社名公表に、業界では驚きの声も聞かれるが、裏を返せば、業界がそこまで追い込まれており、厳しい環境を強いられているということがうかがい知れる。

今後、法令を順守していくために、どこまで商慣行を変えていけるかが大きなカギといえるが、国、そして世論を味方に、追い風が吹いているいま、まさに千載一遇のチャンスでもある。