No.1299 2024年(令和6年)6月25日
東京都トラック時報
荷主と物流事業者 取引に関する調査
荷主573名に対して 懸念事項示し注意喚起
公正取引委員会は6月6日、令和5年度の『荷主と物流事業者との取引に関する調査結果及び
優越的地位の濫用事案の処理状況』を公表した。
公取委では、荷主と物流事業に対する書面調査を行うとともに、
コスト上昇にもかかわらず取引価格を据え置く行為などが疑われる事案について、
荷主121名への立入検査を実施した。
これらの調査結果を踏まえ、独占禁止法上の問題につながるおそれがあた荷主573名に対し、
具体的な懸念事項を明示した注意喚起文章を送付した。
注意喚起した荷主の上位3位は、多い順に『協同組合』『飲料品製造業』『飲食料品卸業』。
また、行動類型別では、『買いたたき』(全体の34.8%)が最も多く、次いで多い順に『代金の減額』(20.7%)
『代金の支払い遅延』(17.0%)『不当な給付内容の変更及びやり直し』(15.4%)だった。
主な事例として、『買いたたき』では物流事業者が労務費などコスト上昇分の運賃引き上げを求めたにもかかわらず、
引き上げに応じない理由を回答することなく、運賃を据え置いた事例や、
物流事業者が自助努力で解決すべき問題として、運賃の引き上げ協議を拒否した事例があった。
また、『代金の減額』では『協力値引き』と称して、契約書で定めていた運賃を一方的に5%差し引いて支払った
事例や、『不当な給付内容の変更及びやり直し』では当日の朝に運送委託ををキャンセルしたが、
物流事業者が負担した費用を支払わなかった事例などもあった。
優越的地位の濫用事案としては、そのおそれがあるとして17件の注意対象となった行為類型では、『不当な給付内容の変更及びやり直し』が最も多く、次いで『代金の減額』、『不当な経済上の利益の提供要請』だった。