令和7年3月度 安全運転教育指導会議
東京都大田区東海4-9-12
IEC構内にて開催
貨物自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針
平成13年8月20日国土交通省告示第1366号
XII.安全性の向上を図るための装置を備えるトラックの適切な運転方法
プロドライバーとして運転支援装置を使いこなそう!
《ポイント》
(1)運転支援装置は、文字通り運転を“支援”するものである。
(2) 運転支援装置について、正しい知識を持つ必要がある。
(3) 運転支援装置は正しく使用しなければならない。
(4) 運転支援装置は状況等によって正しく作動しないことがある。
(5) 運転支援装置の機能を過信することは事故につながる。
(6) 「運転の主体は自分自身である」という自覚を持つ。
ASV化は世界的な流れ
近年、「先進技術を利用して、ドライバーの安全運転を支援する」という考え方が世界的に普及し、
さまざまなクルマに各種の安全性の向上を図るための装置(運転支援装置)が搭載されるようになりました。
こうした装置を搭載したクルマのことを 「先進安全自動車」(Advanced Safety Vehicle)、あるいは
略称で「ASV」と呼んでいます。
国土交通省はASVの高度化を推進
国土交通省は国の施策として、トラックなどへの運転支援装置の搭載を推進しています。
例えば、運転支援装置の一つである衝突被害軽減ブレーキについて、国土交通省は2021年11月1日より、
新しく生産される車両総重量が3.5 トンを超えるトラックに、対車両の衝突被害軽減ブレーキの搭載を義務付けています。
さらに、今後、機能レベルの高度化が図られることになっています。
2025年9月から新型車において(継続生産車は2028年9月から)、対歩行者の衝突被害軽減ブレーキの搭載が義務付けら
れます。また、同じタイミングで対車両の衝突被害軽減ブレーキの性能について、静止車両への衝突回避ができる
速度を現状の 20km/hから70km/hに引き上げるとしています。
〔衝突被害軽減ブレーキの性能〕
●カメラやセンサーにより先行車との距離を常に検出し、危険な状況にあるかどうかを監視します。
●追突の危険性が高まったら、まずは音などにより警告し、ドライバーにブレーキ操作を促します。
●それでもブレーキ操作をせず、追突するもしくは追突の可能性が高いと車両が判断した場合、システムにより自動的に
ブレーキをかけ、衝突時の速度を低く抑えるようにします。
【注意事項】
●衝突被害軽減ブレーキは、当該システムのみで衝突を回避したり、安全に停止するというものではありません。
●カメラやセンサーに汚れなどが付着している場合には、システムが正しく作動しないおそれがあります。
●いかなる場合でも衝突を回避できる装置ではないため、ドライバーは交通状況の把握を常に行う必要があります。
[ACCの性能]
●ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)は、カメラやセンサーで前方を監視し、ドライバーがセットした車速を維持するとともに、自車両よりも遅い先行車がいる場合には、 先行車との車間距離を適正に維持して追従走行します。
●ACCは、アクセル操作に加えブレーキ操作も自動で行います。
[注記]
●運転操作が軽減されることや、先行車との車間距離が維持される安心感から、漫然運転になって前方不注意となったり、
さらには居眠り運転におちいり事故を発生させることがあります。
ACC使用時も、運転の主体は自分自身であることを忘れないでください。
●ACCは自動運転ではありません。 過信すれば事故リスクが高まるので、必ず正しい知識・正しい操作で使用しましょう。
〔ふらつき注意喚起装置の性能〕
●ふらつき注意喚起装置は、ドライバーのハンドル操作や車両の挙動から、車両の不自然なふらつきを感知し、
警告と表示でドライバーに注意喚起します。
〔車線逸脱警報装置の性能〕
●車線逸脱警報装置は、車載のカメラなどで走行車線を認識し、車線から逸脱しそうになった場合あるいは逸脱した場合、
警告と表示でドライバーに注意喚起し、場合によってはハンドル操作を支援します。
[注意事項(共通)]
●ふらつき注意喚起装置や車線逸脱警報装置の警告・表示があった場合は、漫然状態や居眠り状態になっている可能性が
あります。
●ふらつき注意喚起装置や車線逸脱警報装置は注意喚起をするものであり、自動運転のように車両を制御するものでは
ありません。
【車線維持支援制御装置の性能]
●車線維持支援制御装置は、車載のカメラなどで走行車線を認識し、車両が走行車線中央の走行を維持するように制御し
ます(ハンドル操作を適切に支援します)。
【注意事項】
●車線維持支援制御装置はハンドル操作を支援するものであり、装置単体が車線維持のすべてを行うわけではないので、
ドライバーが適切なハンドル操作を行う必要があります。
車両安定性制御装置
★速度超過、乱暴な運転、積み方が不適正などで、制御ができない場合がある。
〔車両安定性制御装置の性能]
●車両安定性制御装置は、雨・雪による滑りやすい路面の影響や、カーブなどでの急なハンドル操作などによって、
「はみ出し」「スリップ」 「スピン」 「横転」などが生じそうな場合に、警告などで知らせるとともに、エンジン出カや
ブレーキを制御し、横すべりや横転などの危険を軽減させます。
[注記]
●①車両の速度が制御の限界を超えているとき、
②装置を過信して乱暴な運転を行ったとき、
③積荷の積み・ 方が適正で
ないときには、装置の効果が発揮されず横滑り・横転などを抑止できない場合があります。
3月の約束
1. 年度末の事故防止に努めよう!
過去の統計を見ると、3月は1年の中でも事故が多く発生する月です。年度末であわただしくなりますが、先急ぎの心理に
ならないように注意しましょう。また、 心身を良い状態に保つことを心掛けましょう。
2. 油断やうっかりをなくそう!
交通事故は、ドライバーの油断やうっかりによって起きることがあります。運転に対する慣れから、無意識に「行うべき
こと」を省略したり、危険を見逃したりしていないか、自分の運転を振り返ってください。
3. こまめに花粉症対策を行おう!
今年も本格的に花粉が飛散するシーズンを迎えます。今年の飛散量は、広い範囲で例年より多い予想です。
花粉症対策を早めに準備し、こまめに実践するようにしましょう。
年度末の事故防止に努めよう!
実践ポイント
●運転に集中する/漫然運転をしない
●安全運転の基本を徹底する(速度・車間距離・安全確認など)
●イライラしない/深呼吸などで落ち着く
●「先急ぎの心理」におちいらない
●周囲の状況を把握し危険予測運転を行う
・本誌の提唱項目
★ストレスや悩みは早期の解消を図る
★健康を管理し心身充実して運転する
こまめに花粉症対策を行おう!
実践ポイント
●マスクや花粉対策メガネをつける(マスクは毎日交換 メガネは毎日洗う)
●洗眼薬で適切に洗眼する
●キャビンに入る前に必ず衣服をはらう
●キャビン内をこまめに拭き掃除する
●内服薬は眠くならないものを使用(必ず医師や薬剤師に相談する)
・併せて行う健康管理
★感染症対策を継続する
★十分な睡眠で疲労回復に努める
baibaikin