脳卒中の 後遺症はさまざま
脳卒中での脳のダメージの受け方はそれぞれの人で違うため、後遺症のあらわれ方や程度もさまざまです。
半身の麻痺、しびれ・痛み、飲食物を飲みこめないといった動作や感覚の障害から、会話ができない、
注意力や判断力が低下する「高次脳機能障害」、認知症、うつ状態など。
早期からリハビリを受けることが重要です。
発症直後(急性期)は、入院した病院で生活に必要な基本動作(関節を動かす・食事・排泄など)を訓練し、
次(回復期)は、リハビリ専門病院などで「立つ、歩く、 話す」など、
体の機能を発症前に近づけることを目ざ します。
最後(維持期)は、自宅やリハビリ施設に通い ながら、機能の維持・回復、社会復帰に努めます。
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脳卒中の治療は 時間が勝負
脳卒中らしい症状が出たら、夜中でも救急車を呼ん で、
専門医や設備のととのった各地域の一次脳卒中セ ンターに搬送してもらってください。
脳梗塞では1分間治療が遅れると、190万の脳神経細胞が失われるとされます。
救急車の到着まで脳への血流を保つため 横になります。
意識がない場合は、吐いたものがのど につまらないよう横向きに寝かせます。
病院ではMRI等の画像検査も参考に治療を進めます。
脳梗塞の場合、血栓溶解療法(t-PA。強力な薬で 血栓を溶かす:発症後4・5時間以内に開始)や
血栓回収療 法(カテーテル等で血栓を除去する: 発症から最長で24時間以 内に開始)といった
時間制限のある選択肢があります。
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「隠れ糖尿病」とは?
血糖値が多少高くても、ほとんど症状はなく、気づくことはまれです。
さらにここで気をつけたいのは、糖尿病のごく初期や予備群の時に、
インスリンの働きや 量がやや不足しはじめると、空腹時の血糖値は正常なのに、
食事後は大きく上昇することがあることです。
新聞などでもよく目にする「隠れ糖尿病」の状態です。
(正しくは「食後高血糖」といいます)
健康診断で採血はしますが、空腹時におこなうことが多いため発見されにくく、
まさに「隠れて」いる状態です。
食後高血糖は糖尿病の予備群であり、また、動脈硬化を促進し、循環器病の発症と関係するとの報告もあります。
これを改善するには、糖尿病予防の基本である
「食べ過ぎない・運動不足解消・肥 満の場合は体重減量」に加え、
「食事はよくかんでゆっくりと・食物 まん せんい 繊維を十分食べる・野菜から先に
(ベジタブル・ファースト)」、
「甘い ひか 間食やジュースを控える」「食事後の軽い運動」などが効果的です。
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百害あって一利なし
タバコの煙は「血圧や心拍数を上げて心臓や血管の 負担を増やす」、
「血管を傷つけ動脈硬化を進行させ る」、「血液をドロドロにし血管をつまりやすくする」、
「体全体を酸欠にする」など色々な悪影響をおよぼします。
統計的にみても、吸う人は吸わない人に比べ、 約2~3倍ほど循環器病にかかりやすいことがわかっています。
「がん」など大変な病気の原因にもなります。
禁煙すると、動脈硬化をおこした血管はもとに戻りませんが、
1年で虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)のリスクが半減、
約10年で脳卒中のリスクは非喫煙者並 みになるとされます。
年齢にかかわらず大きな予防効 果がありますので、禁煙は「思い立ったが吉日」です。
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腎臓は毛細血管の かたまり、壊れやすい
動脈硬化が進むと、特に影響を受けやすいのが脳・心臓・腎臓でしたね。
腎臓には「糸球体」と もうさい かたまり呼ばれる毛糸玉のような毛細血管の塊が合計で200万 個ほど入っていて、
そこに血液を流して老廃物をろ過し、尿として排出するのですが、
この糸球体の血管は細いため壊れやすく、高血圧や高血糖が続くと壊れてきます。
そして一度壊れると二度と再生しません。
健康診断でクレアチニン値が高い(=本来捨てられるべき老廃物の処理ができていない)、
あるいは尿たんぱく が「+」の場合、糸球体が壊れてきている可能性があ ります。
そのまま進行すると最終的には老廃物の処理のため人工透析が必要になります。
その前に対策を!
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運動は一石十鳥
運動には血管を守る働きがたくさんあります。
①血 管がしなやかになる→血圧が下がる
②酵素の活性化 しぼう こうそ →善玉コレステロールが増え中性脂肪が減る
③インスリンの働きを改善→血糖値が下がる
④脂肪や血糖 どうみゃくこうか を消費→肥満改善などにより動脈硬化を防ぐ
⑤心筋梗塞や
⑥脳卒中などの予防になります。
また脳を活 しょうしょう 性化して
⑦認知症
⑧うつ病を予防、骨や筋肉を強化
⑨骨粗鬆症
⑩回寝たきりの予防にも役立ちます。
会話でき、少し汗ばむ程度の軽めの有酸素運動が効果的。
すきま時間に10分ずつの積み重ねでもOK、日々の継続が大切です。
左の「運動のめやす」も参考に、 無理せず、少しずつ運動量を増やしましょう。
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糖分はこびりついて害をなす
健康なときはお米やパン、甘いものなど炭水化物を 食べても、
すい臓からインスリンというホルモンが出て、
血糖値を適切な範囲に調節しています。
このインスリンの働きや量が不足し、血糖値が上昇してしまうのが糖尿病です。
これにはインスリンが突然出なくなり主に若者で発症する1型と、
遺伝の影響に悪い生活 習慣が加わり、主に中高年で発症する2型があります。
いずれの場合でも高血糖状態が長く続くと、大小の血管を劣化させます。
糖はベタベタしておりタンパク 質にくっつく性質があり
(これを「糖化」といい、健診の HbA1cは糖化ヘモグロビンの割合を見るものです)
色々なものにこびりつき、結果として血管を傷つけるのです。
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高血圧は悪循環
血圧とは、心臓から送り出された血液が動脈の壁を内側から押す圧力です。
血圧が高いと動脈は傷つき、 徐々にしなやかさを失います(動脈硬化)。
すると、さ らに血圧が上がりやすくなります。
悪循環なのです。
高血圧予防のポイントは、
①減塩(塩分により血液量 が増えるため)
②肥満解消
③軽度~中等度の有酸素 運動、飲酒を控える
⑤野菜・果物からカリウム ひか を摂取(腎機能が正常な人)
⑥禁煙
加えて、脳卒中などの引き金となる血圧の急上昇を 防ぐことも大切です。
精神的ストレス、寒冷刺激、排 便時のいきみ、喫煙、多量飲酒、強い運動、睡眠時無 呼吸などは
血圧を急上昇させますので、ご注意を!
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余ったコレステロールは 血管にたまる
血液中のコレステロールには、細胞やホルモンの材 料になるといった本来の役割がありますが、
多すぎる と余ったコレステロールが動脈の壁に入り込んで動脈硬化をおこし、
循環器病の原因となります(ひみつ1)。
体内のコレステロールは約80%が肝臓で合成され、 かんぞう 20%が食品由来です。
つまり、卵などコレステロール を多く含む食品だけを減らしても十分ではなく、
肝臓 での合成を抑える必要があります。
コレステロールの 合成をうながす「飽和脂肪酸」(冷やすとかたまる脂。 肉の脂身、乳脂肪に多い)の摂取を減らし、
合成を抑える「多価不飽和脂肪酸」(冷やしてもかたまらない脂。魚介類や大豆製品に多い)を増やすことがポイントです。
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過剰な内臓脂肪は 悪玉物質を出す
体の脂肪には「皮下脂肪」と「内臓脂肪」があり、「内臓脂肪」が過剰に蓄積すると、
体に悪影響を与える様々な悪玉物質が放出されます。
(例えば、内臓脂肪から出る 「PAI-1」という物質は、血を固まりやすくするため、血栓 ができやすくなります。
ほか、血糖値や血圧を上げる物質も)
加齢とともに基礎代謝(体の維持のための必要最低限の エネルギー)が減ると、
余ったエネルギーは中性脂肪 のかたちでお腹の内臓まわりにたまりやすくなり、
お腹が出てきます。
内臓脂肪を減らすには、「食事・間 食などからのエネルギー摂取を減らす」、
「体を動かし て消費を増やす」のどちらか、または両方により、
摂 取したエネルギーが余らないようにすることです。
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